清水焼団地探訪
文=藤田あかり(フリーライター)
若手作家の立場から 陶器まつりを語る
陶器祭りの出展者の中には、若手作家もいます。今回は3人の若手作家に取材しました。

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ー 田中大さん ー
田中大 陶歴
1972年 京都に生まれる
1996年 京都精華大学美術学部造形学科陶芸専攻卒業
清水焼団地アートきよみず工房内にアトリエを持つ 「うつわ6人展」(同時代ギャラリー/京都)
1997年 「陶うつわ展」(陶成アートギャラリー/信楽)同'99
「ミニ・アチュール展」(同時代ギャラリー/京都)
「器展」(ギャラリー紅/京都)
1998年 「陶八人展」(アートスペース八源/京都)・
「田中大陶展」(CN−JAPAN/京都)
「京の新しい風、陶五人展」(阿倍野近鉄百貨/大阪)
1999年 「Drinking Vessels」(阿倍野近鉄百貨/大阪)
2000年 「ふれるとあたたかいもの」(すがたや/愛媛)・「陶展」(都ホテル/京都)
「土も考える 個展」(CN−JAPAN/京都)
2001年 「陶展」(三越/大阪・新潟)・「お茶とお菓子の器展」「お正月」(更/滋賀)
2002年 「茶香炉展」(cocca/大阪)・「GSS」(新風館/京都)
「米の器展」(HAYASHI/京都)
2003年 「マグカップ展」(オリジン館/京都)
2004年 清水焼団地に築窯
2005年 「百趣百盃」(うつわやあ花音/京都)
(海外での活動)
1999年 斜め轆轤での指導(インドネシア)
2005年 器のデザイン指導(インドネシア)
2006年 高火度焼成用ガス窯、築窯指導(インドネシア)
(2006年展覧会予定)
6月30日
〜7月9日
「パリからお菓子を載せて」(うつわやあ花音/京都)
8月5日
〜8月27日
「個展」(陶成アートギャラリー/滋賀)
10月4日
〜10月17日
「個展」(大丸美術工芸売場/京都)
10月27日
〜10月29日
「菓陶展」(青蓮院/京都)
 田中さんが作陶を始めたきっかけは、大学で陶芸科に入学したことにある。専攻の理由を聞くと「特にないんです。入ったところがたまたまそこでした」という答えが返ってきた。それが本職になるとは当時想像もしていなかったのかもしれない。いつのまにか、ろくろを回すことに楽しさを見出し、卒業後もその道に進むことを選んだという。

 田中さんの作品は、一般食器が中心だ。テーマは特に定めず、作風にはとらわれず、その時々に作りたいものを作るのが田中さん流。
 「 “これや”と思ってできた釉薬でも、同じ原料が手に入る保証はないし、同じ色は出ないことも多い。それなら、同じものを追求するよりも、変化を楽しんで作っていきたいんです。失敗しながらも、次何を作ろうかって考えるのが面白い。」

 陶器まつりには、10回目の参加となる。まつりで出会ったお客さんから仕事を依頼されることがあるなど、チャンスを掴む場でもあるが、本人としては“祭りを盛り上げる”ことが大切!

 「“ぼくら若手がやらへんかったら誰がやるねん”という感覚で。団地を知ってもらうのにも、いいきっかけにはなりますし。お客さんには、宝探しするみたいな思いで来て欲しいですね。」

スリーショット

田中大 制作



ー 西山晴美さん ー
西山晴美 陶歴
1976年 京都に生まれる
奈良芸術短期大学卒業  
1998年 京都府立陶工技術専門校図案科卒業
陶芸家市川廣三氏に師事
2003年 二人展「見てふれてやさしい物たち」(ギャラリーコラージュ)
2004年 グループ展
「ほのぼのファクトリー 〜7人のHand worker モノがたり〜」(京都高島屋)
現在 清水焼団地にて制作
 もともと絵を書くのが好きだった西山さん。高校生の進路選択の時、油絵ではなく陶芸科に決めたのは「絵よりも食べていける気がしたから(笑)」と、笑って振り返ってくれた。
 「実際やってみると、体力が結構必要で、しんどいことばかりでした(笑)。でも、自分である程度の工程を面倒見れるっていうのが楽しくて。そこが自分に合ってるのかなと。」

 作品は、食器の他、髪留めやボタン、帯留めなどの小物も手掛けている。西山さんにとっては、陶器もキャンパス代わりなのだろう。シンプルな形をした食器に、オリジナルのファンタジックな絵が一面に広がっていると、食事の時間が一層楽しく思えてくる。

 「人に使われるものを作っていきたいというのがあります。人と結びつく、接点があるということに魅力を感じていますね。」

 陶器まつりでは、直接お客さんと交渉できるのが楽しみだと言う。
 「お客さんの顔が直接見れるいい機会です。普段は作品をお店に置いてもらうことが多いので、どんな方が買われたのかまではわかりませんから。いろんな方との出会いを楽しみたいです。」



西山晴美 制作



ー 谷口良孝さん ー
谷口良孝 陶歴
1979年 京都に生まれる
1998年 京都府立陶工高等技術専門校成形科修了  
1999年 同校研究科修了
2000年 京都市工業試験場修了
陶芸家谷口正典に師事
2001年 全関西美術展初出品初入選
「親子三代展」(明日香画廊/岡山)
2003年 「京焼親子三代展」(又野山荘/愛媛)
2005年 第27回日本新工芸展初出品初入選・奨励賞受賞
京展初出品初入選
2006年 第28回日本新工芸展入選
近畿展新人奨励賞受賞
全関西美術展入選・京展入選

 陶芸家の祖父と父の下に育った谷口さん。小さい頃は、その恵まれた環境への反発心からか、陶芸に一切の関心はなく、美術も嫌いだったという。転機となったのが、祖父の死だ。以降、専門校や試験場で技術を学び、陶芸の世界と向き合うようになった。

 「面白いと思い始めたのは、ここ4年くらい。ある程度自分の思うようになると、段々と表現したいものができてくるんです。青年会の会員になって、若手の人と話す機会があることも、刺激になりますね。」
 昨年からのテーマである「深海の遺跡」を始め、谷口さんの創作作品は数々の展覧会で受賞、入選を果たしている。「飽きたら作らない。作品となれば、自分の好きなものしか作りません」と話す姿には、枯れることのない創作意欲が垣間見えるようだ。

 陶器まつりでは、一般食器を出品する。お客さんの率直な意見は、来年のまつりに向けての手がかりになるという。
 「陶器まつりは、お客さんの声が今のニーズなんだということに気づかされます。意見を参考にして作ったものを、次の年に持っていくと、きれいに売れたりしますから。それに、“自分という人間が陶器作っているんや”ということをたくさんの方に知ってもらう場です。お客さんには、安いからではなくて、本当に気に入るものを探しにきてほしい。それが結果的に自分の作品やったら嬉しいですね。」

 まつり当日は青年会の活動として、楽焼体験も開催しているそうだ。まつりの思い出作りに体験してはいかがだろうか。


谷口良孝 制作